プロジェクトストーリー

自社輸入ワイン「PLEASURE WINE」プロジェクト



自分たちの信じるワインを通じて、
楽しくワインを飲む人を増やしたい。

「食事に合うワイン」という明確なコンセプトを掲げてスタートした自社輸入ブランド「PLEASURE WINE」。フランス、イタリア、スペインなどにあるおよそ50のワイナリーと直接契約を結び、自分たちの舌で確かめたワインを、国内180店舗を展開する大手飲食チェーンから町のバル、ビストロ、一般ユーザーにまで提供しています。売上においては昨年対比180%(2018年実績)。急成長を遂げる同ブランドの立ち上げの経緯や軌道に乗るきっかけ、今後の展望などを社長ほか2名のキーマンに聞きました。



プロジェクトメンバー



◎代表取締役 塚本 政利
インターネットの普及でグルーバル化が日本の食にも増えていく流れを感じ、国内におけるワイン需要の拡大を予見し、当初より想定していた「輸入×IT×ロジスティクス」という強みの活きるワイン事業に乗り出す。



◎営業 吉田部長
過去にインポーター経験があり豊富な輸入・販売のノウハウを持ち合わせていたことから「PLEASURE WINE」プロジェクトに中途入社で参画。現在は東京・名古屋の営業部の責任者として未来堂の業務卸事業を担当している。



◎ロジスティクス 日面部長
創業メンバーのひとりとして「PLEASURE WINE」立ち上げ時から社長とともに現地に買い付けへ。当初よりブランドの方向性を決める商品選定から輸入の段取り、商品管理までを行っており、現在もそれらの業務の責任者を務めている。



■なぜ自社輸入をはじめようと思ったんですか?

社長:実は自社輸入の計画は会社を設立した頃から立ち上がっていたんです。現在、会社として14年目ですが、輸入ノウハウがわかってきたのがようやく3年目あたり。それから輸入は始めていましたが、通販で日本一になり、会社の資金が安定して人員も確保できるようになってきたことで、いよいよ第2ステージへ進むために「PLEASURE WINE」プロジェクトを立ち上げたというわけです。

吉田:私が入社したのが、まさにそのタイミングですね。インポーターとして働いてきた経験を未来堂の第2ステージの実現、成長に活かすことができるんだという期待感がありました。今も充実した日々を過ごしています。

社長:ブランドをつくるのは「営業」です。商品が良いことは大前提として、買い付けの体制やコンテナの品質、バックヤードの体制を整えることと同じように、バイヤーと同じ思いで商品を売っていける人が必要でした。

吉田:せっかくいいワインを輸入しても、その先にお客様がいなければ成り立たない。まずは商品のすばらしさを、そして自分たち輸入会社のことを知ってもらうためにコツコツやっていこうということを社長と日面さんとよく話しましたよね。

日面:そうですね。最初は15のワイナリーと契約して約50のアイテムから始まりましたよね。

社長:今思うと「よくこんな薄いカタログでやっていたな」と思うくらい(笑)。

吉田:飲食店に直接販売することも可能でしたが、東京という市場で戦っていくための情報を仕入れる意味でも、まずは酒屋さんから入っていこうという戦略でスタートしました。




■立ち上げ当初はいかがでしたか?



吉田:はじめはほとんど相手にされませんでしたね。結局口座を開いていただくまでに半年ほどかかりました。足しげく通って酒屋さんからの信頼を得るのはもちろんですが、その先にいる飲食店さんから支持され「PLEASURE WINEを扱ってほしい」という声をかけていただけるようになったくらいから潮目が変わってきた感じです。

社長:ゼロからのスタートだったので大変だったと思います。転機になったのは、全国に180店舗ほど展開する大手チェーンとのお取引。弊社の商品・サービスの質が見える化されることで、同じような規模の飲食店さんからお声がけいたけることが増え、酒屋さんにしても「あそこと取引できる会社なら付き合っておかないと」と思っていただけたのか、声をかけていただけることが増えました。

日面:調達の面で大変なのは、仕入れの量が増えると当然輸入のコンテナも増えていきますので、海外とのやりとりでよりスピードが求められるようになりました。仕入れの量は常に増え続けていますので、それに対してスピーディに輸入をし続けて行く。輸入して終わりではなく、商品の中身は適正か、不備がないかというのを管理しなければいけませんので、そこは難しいいですね。また、海外の人は日本に比べて休みが多い。たとえば、サマーバケーションの時期は1ヶ月ほど休んだりしますので、それを見越して仕入れを行う必要があります。



■「PLEASURE WINE」に採用するワインはどのようにどのように決めているんですか?

社長:まず、「食事に合う」というコンセプトに合致すること。すべてを取り扱うことは不可能ですので、そのなかで自社の特長を出していくために、そのコンセプトにフォーカスをして選んでいます。

日面:そのうえで、必ずテイスティングをしています。あたりまえのように聞こえるかもしれませんが、価格だけで判断している業者さんもたくさんいます。でも、僕らはきちんと試飲をする。やっぱり自分たちの手で、自分たちが美味しいと思うワインを選びたいので。社長や吉田とも一緒にテイスティングをして、何がいい悪いということも議論をしますので味の基準にぶれはないですね。それから、味だけでなく必ずその土地まで行って、畑や設備までしっかり見るようなこともしています。やはりいいワインは畑から違いますね。手入れの仕方も違うし、ひとつの木からとれるぶどうの量も違う。機械で摘むのと手で摘むので違いが出ます。もっと細かいことはたくさんありますが、それだけ厳しい基準で選定しています。

社長:だから、けっこう時間がかかります。テイスティングなど日本で調査できるものは調査してしまって、今度は現地の畑と作りを調査して最終的にはその商品の品質やつくっている人の考え方、経営者の人柄を確認して、最後に営業に確認とってようやくをGO出す。それだけのフィルターを通すので、どうしても採用までに時間がかかります。

吉田:営業サイドから「こういうワインを仕入れてほしい」とリクエストすることもありますね。お客様との商談の中で、「この品種でこれくらいの価格帯であれば入れられるかも・・」といった声をもらうことがあるんです。そしてこういう声は不思議なことに、別のお店からも同じ要望が出てきたりするんですよね。

日面:そのオーダーは重要ですよね。商品を選定する一つの指針になります。

吉田:たとえば、やはり1番多いのはシャンパーニュですね。世界的にも消費量が増えているカテゴリなんですけど、コストパフォーマンスの高いものを求められます。あとは一般の方からも人気なエリアのワインも、値頃感があって味の良いものを選定してもらっています。




■ワインについての勉強や教育はどのようにされていますか?



社長:年2回、2泊3日で奥飛騨温泉郷に行ったりして、泊まり込みの合宿をしています。そこで朝から晩まで一緒に食事をして、お風呂に入って、販売やワインの勉強会をするんです。交流を深めることで営業と調達それぞれの考え方を理解できるという良さもありますし、テイスティング会をしてワインへの理解を深める機会にもなっています。

日面:「PLEASURE WINE」がどういうワインかを知ってもらうために、あえてどこのワインかわからない状態にして飲んでもらうブラインドテイスティングをしています。2日間にわたってマスクしながら100本近くのワインを試飲します。

吉田:プレッシャーですが、自分たちが試飲して本当にいいと思ったものをお客様にお伝えし、それを一般消費者の方も美味しいって喜んでいただければ、また未来堂のワインを仕入れてみようということになると思うんですよね。その繰り返しの輪を広げていくことが重要だと思っています。



■今後の展望はありますか。

吉田:まだまだ「PLEASURE WINE」の認知度が低いので、飲食店や酒屋、百貨店、スーパーだけでなく、たとえばソムリエが集まる協会とのパイプを太くして、ソムリエから支持してもらえるようなブランドにしていきたいですね。やはり影響力のある方々に支持されると、世の中への波及効果も大きいので、そうした取り組みをしていきたいと考えています。あとは、販売先によって求められるものが違うので、一般家庭向けならよりお手頃感のあるもの、記念日などに使われるお店ならより味わいを重視したものといった具合に、それぞれのセクションで深化させていきたいです。

日面:調達としては、売上が大きくなってくると、営業サイドからのオーダーも増えてくるので、そこにきっちりと応えられるようにしたいですね。お客様からの要望はハードルの高いものも多く、探すのに時間を要するんですね。でも大変な分、そこに応えられればうちを選んでもらえるわけですから。

社長:あとチャレンジしようと思っているのは、日本のマーケットにない新しい価値のワインを持ち込んで自分たちで育てていくようなことはしたいと思っています。あるワインを飲んだらすごくおいしくて、料理とも相性がいい。おそらく日本で売るのは難しいだろうとわかっているんですが、やっぱりいいものはいい。合わせる料理などを工夫しながらマーケットをつくっていきたいですね。

吉田:その価値を伝えていくのは営業一人ひとり。伝える大変さもありますが、そこで共感してもらえる喜びはきっと格別なものだと思います。ワインが好きじゃないとこの仕事はできないですよね。




■最後に、みなさんにとっての「ワインの魅力」を教えてください。



日面:ワインが好きな人同士で飲んで「共感」できることでしょうか。お気に入りのワインを飲んで、楽しく話せる。ビールだとただ飲むだけかもしれませんが、ワインだと作られた年や地方、作り方、味わいなどについて語ることができる。そうすると、その人とすごく近くなれる気がするんです。私はワインの魅力はそんなところにあると思いながらやっています。

吉田:むずかしい質問ですが、私もやっぱり日面さんと似てるのかなと思います。ワインってビンテージがありますし、その産地によっての個性も違います。もちろん、栽培状況も違う。でも飲み手としてこのワインを誰と飲んだ、どこの店でどんな料理を食べながら飲んだ、というのは記憶に残ってるんですね。そういう部分では「思い出を残せるもの」でもあるし、生産者が作ってる情熱を伝える仕事でもあると思います。私はビールも好きなんですけど、ビールは思い出が残らなくて(笑)。ワインはロケーションや食べたものが非日常な場面でいただくわけですから、そのマリアージュを体感するからこそ記憶に残るのかもしれないですね。

社長:日本でアルコールと言うと「やけ酒」とか上司と飲んで…みたいなイメージですが、ワインをきっかけにもっと楽しくて、もっといい感じで楽しめるものになっていくような夢を売っているのかなと思いますね。ともすると高いと言われるワインですが、面白いこと、楽しいことをしながら、その価値をちゃんと伝えられるといいなと思います。